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平成30年度第1回勉強会を開催しました

平成30年度第1回勉強会を開催しました

 

廃棄物資源循環学会リサイクルシステム・技術研究部会 平成30年度第1回勉強会

「マイクロプラスチックの現状と解決に向けての課題」

◆日時:平成30年7月6日(金)14:30~17:40

◆会場:産業技術総合研究所臨海副都心センター別館11階第3会議室

 

第1回勉強会では、東京農工大学の高田秀重教授と環境省の井上雄祐氏から、海洋プラスチック汚染の現状と課題、その対策に向けた取組や考え方についてご講演いただきました。

海洋へのプラスチック流出は毎年800万トンと推計されており、一度海洋に出てしまうと回収は非常に困難であることから、プラスチックごみ自体を削減することがとても重要であること、また、海洋プラスチック汚染に関する世界的な議論も踏まえ、日本でも積極的に取り組んでいく必要性を実感する勉強会となりました。

当日は、雨天にもかかわらず、約60名の方に参加していただき、時間いっぱいまで多くのご質問やご意見が出され、活発な議論が行われました。また、20名が参加した懇親会でも、おいしい食事とお酒を片手に、様々な情報交換が行われ、とても充実した第1回勉強会となりました。

講師及び参加者、会の運営にご協力いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。


 

【プログラム】(14:30~17:00)

■講演1「プラスチックの不都合な真実」高田秀重(東京農工大学 環境資源科学科 教授)

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高田秀重教授からは、マイクロプラスチックの海洋漂流と海洋生態系に与える影響を調査した最新の研究についてご紹介いただきました。プラスチックが生物の体内に蓄積される物理的な影響に加え、表面に吸着したPOPs等や溶出するノニルフェノール等の添加剤由来の化学物質が体内に取り込まれる影響が懸念されています。世界各国で地道な調査が行われていますが、マイクロプラスチックによる汚染はその実態を把握しにくいため、予防原則の立場から、対策を進めることが必要です。

欧米では、マイクロビーズ配合禁止やレジ袋の禁止・削減、ペットボトルや使い捨てプラスチック容器等の禁止等の法制度が導入・検討されています。これに対して、日本ではまだプラスチックごみに対する対策が十分とはいえない状況にあります。また、プラスチックの焼却処理は「温室効果ガス排出を実質ゼロにする」というパリ協定にも反することとなり、改めて発生抑制を中心とした規制や枠組み作り、リサイクルの推進が必要であるとご指摘いただきました。

 

■講演2「国内外の循環資源政策の動向」井上雄祐(環境省 環境再生・資源循環局 総務課 リサイクル推進室 室長補佐)

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井上雄祐氏からは、資源循環に関わる国際的な議論や、EUでの様々な資源循環の取組み事例についてご紹介いただきました。また、日本における資源循環に関わる法制度と、本年6月に閣議決定された第4次循環型社会推進基本計画で示された「プラスチック資源循環戦略」の策定に向けた取組について、今後の展望を交えて解説していただきました。

世界的に資源循環が求められている中、EUでは産業界を巻き込んだビジネスとしての循環も進められています。日本でも、プラスチックの素材別一括分別収集、効率的な選別、分別水準に応じたリサイクルを組み合わせた「プラスチック一括回収リサイクル実証事業」が実施されるなど、資源循環に向けた更なる挑戦が始まっています。国民的な分別体制や高度なリサイクル技術など、日本のポテンシャルを活かしたシステムの構築が期待されます。

 

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